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古い擁壁にひびが入っている、ふくらんでいる。造り直しに補助金は使えるのか。擁壁の工事に、個人が国に直接申請できる補助はありません。補助を出しているのは市区町村で、国はその市区町村を支援しています。擁壁の造り直しは数百万円かかることが多く、北九州市の資料には、幅20m×高さ3mで約600万円の例があります。
| 地域 | 主な補助 | ポイント |
|---|---|---|
| 東京の区・市 | 港区・新宿区・大田区・杉並区(2/3・上限1,200万〜1,500万円)、品川区・文京区・北区・板橋区・世田谷区・目黒区・豊島区、調布市 | 道路に面する、高さ2m超などの条件。受付を終えた区もある |
| 神奈川 | 横浜市(1/3など・上限400万円)、川崎市・相模原市(1/3・上限300万円)、横須賀市・鎌倉市(1/2・上限500万円)など12市町村 | 市内の業者などの条件。交付決定の前の契約は不可 |
| 千葉・東北・北関東・静岡 | 船橋市・成田市・袖ケ浦市・神崎町、仙台市・高崎市・静岡市 | 千葉市・市川市・松戸市・柏市では見つからなかった |
| 西日本 | 福岡市(1/3・上限300万円)、長崎市(1/3・上限200万円)、広島市(1/2・上限150万円)、珠洲市、大分市 | 北九州市は融資。愛知県は見つからなかった |
国の補助:市区町村を通して出る
- 国の宅地耐震化推進事業では、擁壁の防災対策の国費は1/3で、市区町村が宅地の所有者に補助する形(間接補助)です
- 国の補助の対象は、盛土規制法の勧告や区域の指定などがされた地域で、避難路などの公共施設に接している擁壁が中心です。市区町村の補助に道路に面していることという条件が多いのは、このためと考えられます
- 国の住宅の補助(みらいエコ住宅2026のリフォーム)の9つの工事メニューに、擁壁は入っていません
- 土砂災害特別警戒区域の住宅の補強や、がけ地の近くの危険な住宅の移転(がけ地近接等危険住宅移転事業)にも国の支援がありますが、擁壁の工事そのものの補助ではありません
東京の区・市の補助(2026年10月19日確認)
| 区市 | 額 | 条件・受付 |
|---|---|---|
| 港区 | 2/3・上限1,200万円(土砂災害警戒区域内は5,000万円) | 改修後の擁壁の高さが2m超 |
| 新宿区 | 2/3・上限1,500万円(警戒区域内は3,500万円) | 高さ1.5m以上で、自然がけ・空石積み・劣化の著しい擁壁など。工事費の助成の受付は10月30日で締切 |
| 大田区 | 2/3・上限1,500万円(自ら住み、公道に面するなど)。補強などは1/2・上限200万円 | 勾配30度以上・高さ2m超 |
| 杉並区 | 2/3・高さに応じて上限200万〜1,200万円。補強は上限100万〜200万円 | 道路などに面する擁壁。設計費も助成 |
| 品川区 | 1/2。補強は上限100万円、防護壁は上限200万円 | 改修工事は今年度の予算に達して受付終了(補強・防護壁は受付中) |
| 文京区 | 1/2・上限200万円(警戒区域内は1,000万円) | 工事の前後とも高さ2m超。12月4日まで |
| 北区 | 1/3・上限400万円(区の調査で危険度の高いものは1/2・上限1,000万円) | 道路などに面する高さ1.5m以上。12月28日まで |
| 板橋区・世田谷区・目黒区・豊島区・調布市 | 板橋区は5割・上限700万円、世田谷区は1/3・上限300万円、目黒区は50%・上限100万円、豊島区は2/3・上限1,000万円、調布市は1/3〜1/2・上限300万〜500万円 | 世田谷区は「(注意)補修工事については補助の対象にはなりませんのでご注意下さい。」。豊島区は土砂災害警戒区域などに限る |
品川区は「※「土砂災害警戒区域内のもの」および「区内の道路または公共施設に面するもの」の改修工事は、令和8年度の予算額に達したため助成申請の受付を終了しました。」としています(10月15日更新)。
交付決定の前の契約・着工が認められる例外もあります。長崎市は、あらかじめ事前着手届を出せば、交付決定の前に着手しても対象になります。杉並区は、2025年10月1日から2026年3月31日までに契約・着手した工事も、遡って対象になる場合があります(事前相談書は11月30日まで)。大田区は、2026年4月1日から7月21日までに契約・着手した改善工事(補強など)も対象です。
神奈川の市町村の補助
- 横浜市:防災の工事は、工事費の1/3、市の工法別の単価で計算した額、400万円のうち、いずれか少ない額(即時避難指示対象区域等の崖地は1/2・600万円に読み替え)。申請には、2者以上の市内事業者の見積書が必要です。減災の工事(補強など)は、工事費の1/2、工法別の単価の額(一部の工法)、上限100万円か50万円のうち、いずれか少ない額。高さ2m超の崖などが対象で、市内に本社がある業者との契約が条件。申請は12月28日まで(予定)
- 川崎市・相模原市:防災の工事は1/3・上限300万円、減災の工事は1/3・上限100万円。高さ2m超
- 横須賀市・鎌倉市:1/2・上限500万円。横須賀市は市の入札参加資格のある業者が条件
- 厚木市(上限300万円)、秦野市・逗子市・葉山町(上限200万円)、愛川町(上限300万円)、松田町(上限50万円)、清川村(上限10万円)にも制度があります。逗子市・葉山町・愛川町・清川村は、ページから今年度の受付状況を確かめられませんでした
千葉・東北・北関東・静岡の補助
- 千葉県:船橋市(1/2、擁壁は上限100万円。既存の擁壁は完成から30年が条件)、成田市(自然の崖に限り2/3・上限750万円)、袖ケ浦市(1/2・上限300万円)、神崎町(1/2・上限50万円)、長柄町(住宅リフォーム補助で擁壁の改修は3/10)。千葉市・市川市・松戸市・柏市では見つからず、佐倉市は令和6年度に予算がありませんでした
- 仙台市:工事費の100万円を超えた分の1/3・上限200万円。平成18年の法改正の前に造られた高さ2m超の擁壁で、部分的な補修・補強だけは対象外。今年度は、原則として年内に実績報告書を出せる工事が対象です。「既存擁壁の撤去費は助成対象ではありません。」
- 高崎市:道路沿いの住宅の高さ2m超の劣化した擁壁の除却・築造に、費用の50%・上限100万円。市内の業者。申請は11月30日まで(狭あい道路沿いで生活道路拡幅協議が必要な工事は7月31日までで、締め切られています)
- 静岡市:土砂災害特別警戒区域にかかる住居がある、県の急傾斜地崩壊危険箇所の崖の近くに住居がある、高さ5m以上の急傾斜地の近くに住居がある、のいずれかで、住居の移転が難しい場合に1/2・上限500万円
- 北海道・埼玉県・長野県・山梨県・新潟県では、擁壁の改修の補助は見つかりませんでした
西日本の補助
- 福岡市:1/3、上限は擁壁・補強の工事が300万円、補修が100万円。高さ2m超の崖で、既存の擁壁は築20年以上か変状があるもの。市内に事業所がある業者
- 長崎市:1/3・上限200万円。崖の近く(崖の高さの2倍の範囲)に、「がけの所有者の同一生計者以外の方が所有かつ居住などしている建築物、道路又は公園があるもの」が条件で、自分の家だけを守る崖は対象外と読めます。崩壊していない崖は「※1 崩壊のおそれがあるがけとは、宅地造成及び特定盛土等規制法に基づく勧告等を受けているものが対象」で、ひび割れがあるだけで対象になるとは限りません。市内の業者の施工も条件です
- 広島市:減災の工事は1/2・上限150万円(先着順)、耐震診断で倒壊の危険がある擁壁の防災の工事は戸建て23%・上限230万円
- 石川県珠洲市:特例で5/6・上限300万円(2028年3月まで)。大分市:急傾斜地の崖(おおむね高さ5m以上)で8/10・1戸600万円まで。受付は毎年4月1日〜10月31日(土日祝日を除く)で、今年は10月31日が土曜日のため10月30日で締切
- 北九州市:補助ではなく融資です。壊れる前の補強(減災工事)に10万〜200万円を借りられます
- 神戸市・鹿児島市の制度は応急の対策だけで、擁壁の造り直しには使えません。愛知県(名古屋市を含む)では、擁壁の補助は見つかりませんでした
- 福岡市・長崎市は、工事の完了や報告の期限が2月末です。今から相談すると今年度に間に合わないことがあるので、次の年度に向けて早めに相談してください
融資:住宅金融支援機構の宅地防災工事資金融資
盛土規制法などによる勧告や改善命令を受けた人は、住宅金融支援機構の宅地防災工事資金融資を使えます。融資の限度額は1,190万円で、返済は20年以内、全期間固定金利です(2026年4月のパンフレット)。市区町村の資料には古い額が残っていることがあるので、機構のページで確かめてください。
擁壁の所有者の責任と、点検のしかた
- 所有者の責任:民法第717条は「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。」としています。擁壁が崩れて隣の家や通行人に被害が出ると、責任を問われることがあります
- 盛土規制法(2023年5月施行):規制区域の土地の所有者には、土地を安全に保つ努力義務があり、危険な場合は都道府県知事などから勧告や改善命令が出されることがあります。宅地造成等工事規制区域の中で、高さ2mを超える擁壁を壊すなどの工事をするときは、着手の14日前までに都道府県知事などへの届け出が必要です(盛土規制法の許可を受けた工事などは除く)
- 点検:国土交通省は「我が家の擁壁チェックシート(案)は、擁壁の危険度を概略的に知りたい住民の方を対象に作成したものです。」としています。空石積み・増し積み・2段の擁壁などは、「本来、宅地の擁壁として適さないものです。」とされ、変状がなくても専門家への相談をすすめています
- ブロック塀の撤去の補助はブロック塀の撤去の補助金、家の建て替えのための解体は家の解体の補助金にまとめています
勧誘に注意
相模原市は「なお、助成金制度のご利用にあたり、電話や訪問などによる直接的な勧誘等は行っていません。「市(国)からの委託をうけて」など、公共機関の名を騙った訪問やアンケート調査などの例もありますので、ご注意ください。」としています。補助を使えると言われたら、市区町村の担当課に直接確かめてください。
申請の前に確認すること
- 制度があるか:住んでいる市区町村に擁壁・がけの補助があるか、今年度の受付中か
- 対象の擁壁か:高さ(2m超など)、道路に面しているか、築年数、区域(土砂災害警戒区域など)
- 手続き:事前相談、工作物の確認申請や盛土規制法の許可が要るか
- 業者:市内の業者などの条件
- 申請の順番と期限:原則として交付決定の後に契約。年度内(2月末など)に完了できるか
工事を頼む前に:事前相談と、申請の順番を確認する
擁壁の補助は、原則として、交付決定の前に契約・着工すると対象外です。高さ2mを超える擁壁を造るときは工作物の確認申請なども必要で、事前相談から着工まで時間がかかります。
対象になる擁壁の条件(高さ・道路に面しているか・築年数・区域)が市区町村ごとに細かく決まっています。見積もりの前に、市区町村の担当課に相談してください。
見積もりを依頼したら、各社に次の3つを聞いてください。
- 「この擁壁の工事に、工作物の確認申請や盛土規制法の許可は必要ですか」
手続きが必要な工事かどうかで、使える補助の種類が変わる市区町村があります - 「工事をするのは、市区町村の補助の条件に合う業者(市内に本社がある業者など)ですか」
横浜市は市内に本社がある業者、福岡市は市内に事業所がある業者が条件です - 「補助の交付決定が出てから契約してもらえますか」
交付決定の前に契約すると、補助が受けられなくなります
公式サイトで確認できます
家の擁壁がどのくらい危ないかの目安は、国土交通省のチェックシートで確かめられます。
補助が使えるかと、業者や工事の質は別の話です。見積もりは複数で比べてください。
見積もりを取る
複数社から見積もりを取ると、補助金を含めた総額を比べられます。その際も、上の3つの質問は必ず聞いてください。
リショップナビ(運営:株式会社じげん)は、無料のリフォームの一括見積もりサービスです。申し込むと電話で希望の確認があり、条件に合うリフォーム会社を最大5社紹介してもらえます。擁壁の補修や造り直しを考えている場合は、電話でそのことを伝えてください。紹介される会社が、使いたい補助金の条件(市内の業者であることなど)を満たすかは、会社ごとに違います。補助を使う場合は、先に市区町村に相談し、交付決定の前に契約しないでください。
出典
本ページの内容は、次の公表資料にもとづいています(2026年10月19日確認)。
- 国土交通省「我が家の擁壁チェックシート(案)」、宅地耐震化推進事業・宅地擁壁の支援制度の資料
- 宅地造成及び特定盛土等規制法、民法(e-Gov法令検索)
- 住宅金融支援機構「宅地防災工事資金融資」
- みらいエコ住宅2026事業の対象工事
- 各都道府県・市区町村の公式ページ(神奈川県の一覧、横浜市・川崎市・相模原市、港区・新宿区・大田区・杉並区・品川区ほか東京の区市、船橋市、仙台市、高崎市、福岡市・長崎市・広島市・北九州市など)
制度の内容と受付状況は変わります。申請の前に、必ずお住まいの市区町村の窓口と公式サイトで確認してください。
制度の内容・金額・要件・期限は予告なく変更されることがあります。申請の前には必ず公式サイトで最新の情報をご確認ください。本サイトは民間の情報サイトであり、事務局ではありません。
