高額療養費制度の上限額と申請を、厚生労働省の案内と協会けんぽの案内で調べました(2026年10月31日確認)。
1か月に病院や薬局の窓口で払った額が上限を超えると、超えた分が払い戻されます。2026年8月診療分から上限額が上がり、年単位の上限(年間上限)が新しくできました。2027年8月には所得区分がさらに細かくなります。
| 内容(2026年10月31日確認) | |
|---|---|
| 対象 | 公的な医療保険に入っている人。保険がきく医療費の自己負担 |
| 上限 | 年齢と所得で決まる。暦の月ごと |
| 例 | 70歳未満で年収約370万〜770万円:85,800円+(医療費−286,000円)×1% |
| 対象外 | 差額ベッド代、入院中の食事代、保険外の診療など |
| 受け取り方 | あとから申請して払い戻し、または窓口の支払いを上限までにする |
| 時効 | 協会けんぽは、診療月の翌月1日から2年 |
70歳未満の上限額
2026年8月から2027年7月までの額です。〈 〉は多数回該当の額です。
| 年収の目安 | 標準報酬月額 | 1か月の上限 | 年間上限 |
|---|---|---|---|
| 約1,160万円〜 | 83万円以上 | 270,300円+(医療費−901,000円)×1%〈140,100円〉 | 168万円 |
| 約770万〜1,160万円 | 53万〜79万円 | 179,100円+(医療費−597,000円)×1%〈93,000円〉 | 111万円 |
| 約370万〜770万円 | 28万〜50万円 | 85,800円+(医療費−286,000円)×1%〈44,400円〉 | 53万円 |
| 〜約370万円 | 26万円以下 | 61,500円〈44,400円〉 | 53万円 |
| 住民税非課税 | 36,900円〈24,600円〉 | 29万円 |
国民健康保険の人は、標準報酬月額ではなく旧ただし書き所得で区分を見ます。2026年7月までの診療分は、上の額より低い以前の額です(年収約370万〜770万円は80,100円+1%)。
計算の例
70歳未満で年収約370万〜770万円、窓口負担3割の場合です。
| 1か月の医療費 | 窓口の3割 | 上限 | 払い戻し |
|---|---|---|---|
| 100万円 | 30万円 | 92,940円 | 207,060円 |
医療費の欄は、窓口で払う額ではなく、保険がきく医療費の総額(10割)です。
月をまたぐと負担が増える
上限は暦の月ごとに見ます。同じ医療費100万円でも、2か月に50万円ずつ分かれると別々に計算します。
| 1か月に100万円 | 2か月に50万円ずつ | |
|---|---|---|
| 1か月の上限 | 92,940円 | 87,940円 |
| 自己負担の合計 | 92,940円 | 175,880円 |
予定の手術で時期を選べるなら、月の初めに入院できるかを主治医に相談する方法もあります。治療の都合が優先です。
2026年8月からの見直し
- 月の上限:医療費の伸びに応じて上がりました。年収約370万〜770万円は80,100円が85,800円に、〜約370万円は57,600円が61,500円に、住民税非課税は35,400円が36,900円になりました
- 多数回該当:額は据え置きです
- 年間上限:新しくできました。8月から翌年7月までの12か月の合計で見ます
- 2027年8月:所得区分が細かくなります。例えば年収約370万〜510万円は85,800円のままで、約650万〜770万円は110,400円になります
- 2027年8月の低所得の配慮:年収約200万円までの多数回該当が34,500円に下がります
年間上限のしくみ
月々の負担が積み上がって年間上限に達すると、その先の分は保険者から還付を受けられます。月の上限に届かない月がある人にも効きます。
- 厚生労働省の例:これまで多数回該当にならなかった人の例では、年間の自己負担が76.7万円から53.0万円になり、約23.7万円減ります。極めて高額な医療を受けた人の例では、57.3万円から53.0万円になり、約4.3万円減ります。国が示した例で、すべての人の負担が減るわけではありません
- 計算に入る額:協会けんぽは、年間上限の申請も世帯合算と同じとしています。70歳未満は、1か月・医療機関ごとなどの自己負担が21,000円以上のものを合算します。月の上限に届かなくても対象になりますが、少額の支払いがすべて入るわけではありません。70歳以上は自己負担をすべて合算できます
- 対象の年間:8月から翌年7月までです。最初の年間は2026年8月から2027年7月までです
- 協会けんぽの申請:2027年8月から開始です。申請書はまだ掲載されていません
- 年収約200万円まで:標準報酬月額が15万円以下などと確認できた人は、年間上限41万円で、2027年8月以降に払い戻されます
- 領収書:申請の細かい方法は見当たりません。月々の領収書を取っておくと安心です
協会けんぽの申請書の一覧にある「年間の高額療養費支給申請書兼自己負担額証明書交付申請書」は、以前からある70歳以上の外来の年間の上限(今の一般は216,000円)の申請書と見られます。新しい年間上限の申請書は、これから掲載されます。
多数回該当
直近12か月に3か月以上高額療養費に該当すると、4か月目から上限が下がります。連続している必要はありません。
- 認定証を使った月:窓口で上限まで払った月も回数に入ります
- 70歳以上75歳未満の外来:外来の個人ごとの上限で高額療養費を受けた回数は数えません
- 世帯で数えます:協会けんぽでは、同一世帯(被保険者と被扶養者)で数えます
- 保険者が変わると通算されません:国民健康保険や健康保険組合から協会けんぽに移った場合などです
- 退職して家族の扶養に入った場合:被保険者が変わるので通算されません
70歳以上の上限額
2026年8月から2027年7月までの額です。外来は個人ごと、入院を含む欄は世帯ごとです。
| 区分 | 外来(個人) | 入院を含む(世帯) | 年間上限 |
|---|---|---|---|
| 年収約1,160万円〜 | なし | 270,300円+1%〈140,100円〉 | 168万円 |
| 年収約770万〜1,160万円 | なし | 179,100円+1%〈93,000円〉 | 111万円 |
| 年収約370万〜770万円 | なし | 85,800円+1%〈44,400円〉 | 53万円 |
| 〜年収約370万円 | 22,000円(年216,000円) | 61,500円〈44,400円〉 | 53万円 |
| 住民税非課税 | 11,000円(年96,000円) | 25,700円〈24,600円〉 | 29万円 |
| 住民税非課税(所得が一定以下) | 8,000円 | 15,700円 | 18万円 |
1%の部分は、70歳未満の表と同じ式です。
世帯で合算できる場合
同じ月の自己負担は、世帯で合算できます。協会けんぽの世帯は、被保険者とその被扶養者です。別の健康保険に入っている夫婦は、この世帯に当たりません。
- 70歳未満:1つの医療機関ごとの自己負担が21,000円以上のものだけ合算できます
- 70歳以上:自己負担をすべて合算できます
- 分け方:医療機関ごとに、医科の入院、医科の外来、歯科の入院、歯科の外来を別に計算します
- 薬局:処方せんを出した医療機関の自己負担に合算します
協会けんぽのFAQの例では、A病院の入院70,000円と、B病院の外来25,000円は合算できますが、C病院の10,000円は21,000円未満なので合算できません。
先に窓口の支払いを抑える方法
| 方法 | 手続き |
|---|---|
| マイナ保険証 | 申請不要。オンライン資格確認のある医療機関で限度額の情報が使われる |
| 限度額適用認定証 | オンライン資格確認のない医療機関や、マイナンバーを登録していない場合。事前に申請する |
| 住民税非課税の人 | マイナ保険証でも、限度額適用・標準負担額減額認定の申請が必要(協会けんぽ) |
- 複数の医療機関:マイナ保険証を使っても、複数の医療機関の自己負担が窓口で自動的に合算されるとは限りません。世帯合算などで上限を超える場合は、あとから払い戻しの申請が必要です
- 認定証の時期:申請書を受け付けた月の1日からです。前の月の分は交付されません
- 認定証の期限:2026年8月から交付の分は、最長で2027年7月31日までです。その後も必要なら、2027年8月以降に申請し直します
- 自分の区分:協会けんぽは、マイナポータルの健康保険証の限度額適用認定証関連の情報で確認できると案内しています
あとから払い戻しを受ける申請
- 申請書:協会けんぽは「健康保険高額療養費支給申請書」を支部に郵送します。電子申請もできます
- 1か月に1枚:入院が2か月にまたがるなら、月ごとに出します
- 支給の時期:診療月から3か月以上かかります
- 時効:診療月の翌月1日から2年です
- 国民健康保険:市区町村の窓口です。後期高齢者医療は広域連合です
- 健康保険組合と共済組合:加入先に確認してください
お金が足りないときは、協会けんぽの高額医療費貸付制度があります。高額療養費の支給見込額の8割を無利子で借りられ、支給のときに清算します。
ほかに知っておくこと
- 対象にならない費用:保険外の診療、入院時の食事代、差額ベッド代などです
- 透析など:人工透析の慢性腎不全などは、特定疾病療養受療証で上限が月1万円です(標準報酬月額53万円以上の70歳未満で透析の人は2万円)
- 医療費控除:国税庁は、高額療養費を補てんされる金額の例に挙げています。支払った医療費から差し引きます
- 2027年1月の特例:療養や育児、介護のために勤務時間を減らし、報酬が大きく減った人について、標準報酬月額の特例が始まる予定です
働けない期間の収入は傷病手当金に、障害が残ったときは障害年金に、年金が少ない人の給付は年金生活者支援給付金にまとめています。
入院や手術の前に:確認すること
先に分かっているなら、窓口の支払いを上限までにできます。マイナ保険証なら申請はいりません。
病院の窓口か、加入している健康保険に、次の4つを確認してください。
- 「マイナ保険証で、限度額の情報は使えますか」
使えない医療機関では、限度額適用認定証が必要です - 「今回の治療で、保険がきかない費用はいくらですか」
差額ベッド代や食事代は対象外です - 「入院は月をまたぎますか」
上限は暦の月ごとに見ます - 「健康保険組合の付加給付はありますか」
さらに自己負担が減る場合があります
公式サイトで確認できます
問い合わせ先は、加入している健康保険です。
出典
本ページの内容は、次の公表資料にもとづいています(2026年10月31日確認)。
- 厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」・「高額療養費制度の見直しについて(令和8年8月診療分から)」・「高額療養費制度に関する参考資料」
- 協会けんぽ「高額療養費」・「限度額適用認定証」・「高額な医療費を支払ったとき(高額療養費)」・「健康保険高額療養費支給申請書」・「【制度改正】令和8年8月から高額療養費制度が見直されます」
- 国税庁「医療費を支払ったとき(医療費控除)」
額は2026年8月から2027年7月までのものです。2027年8月に変わります。自分の区分と手続きは、加入している健康保険に確認してください。
制度の内容・金額・要件・期限は予告なく変更されることがあります。申請の前には必ず公式サイトで最新の情報をご確認ください。本サイトは民間の情報サイトであり、事務局ではありません。
